草 根  国民の生活が第一


    児童虐待は日本の社会の縮図

 子どもは生まれながらに親を愛し、親の愛情を求めます。もし子どもから自然の欲求と
しての愛情を親が裏切ったら、子どもはどんなに不安と絶望と恐怖におとしこめられるか
想像を絶するものがあります。裏切り続けられた結果、子どもが大人への信頼を失い、
自尊心を傷つけられ、やがてさまざまな問題行動として表面化する結果となります。
虐待をしてしまった親たちも、親からの愛情を十分もらえなかった可能性もありますし、
経済的な問題や人間関係でさまざまなストレスに脅かされ孤立し、そのはけ口を弱者で
ある子どもに向けているのです。子どもへの虐待が増加していることは、社会において
人間同士の暖かい関係や、助け合う精神が薄れてきていることや、経済至上主義・競
争原理の社会、弱肉強食の世の中とも無関係ではないと思います。
 児童養護施設では職員と子どもが一緒に生活する中での愛情の交流によって、人間
同士の信頼関係を築く努力をしています。このような実践は、子育てを通して日本の社
会をより良い人間関係のもとに立て直すことにつながると思います。
 児童虐待が増加する中、児童相談所などの入り口は改善されてきていますが肝心の
児童養護施設への予算となると最低基準は30年間変わらないままです。
 道路や箱物などの物にお金をかけるばかりでなく、最も大切な、人間を育てる基本と
なる子どもからの愛情欲求に応えるためにお金をかけるべきです。日本の発展には、
愛情によって人を育て、より良い人間関係を作ることが最も大切だと思います。
児童虐待の増加は、子どもの問題が社会に対し警告を発していると考えるべきではな
いでしょうか。