近年、社会の歪みや親になる世代が受けてきた家庭や学校等の生活環境が変化する中、子どもへの虐待が連鎖的に急増し大きな社会問題となっています。
このような状況下、児童虐待防止法が2000年5月に成立し、その後2回の改正を経て、通報の義務化・親権の制限や児童相談所の強制的立ち入り調査等の権限が強化され、子どもを守るための制度の充実が図られてきています。

    児童虐待や養育放棄(ネグレクト)が急増。
 通報で児童相談所が出動したケースは、年間3万7300件にのぼり、10年前の10倍と驚異的に増加しています。虐待といっても身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、育児・養育の放棄(ネグレクト)等があります。

   児童虐待の背景
 親の問題や夫婦の不和、経済的問題、育児不安(子どもが言うことを聞いてくれない)等の大人のストレスからきています。親自身が幼少期の虐待経験からくる連鎖、相談相手がいないなど親の社会的孤立など、様々な要因があります。心にキズを持った子どもが急増する中で、情緒障害児や愛着障害児の心理面のケアが必要となっています。安らぎを探し求めている子どもたちに、愛情を持って接することやキメ細かなケアを行うことが求められています。

   ☆社会の変化に対応するのが政治!
 いまの政治は、社会が変わり国民に必要な課題があっても、スピーディーに適切な対応できる機能が不足しています。道路特定財源の暫定税率は34年も続けています。30年以上も続く制度が本当に暫定的といえるのでしょうか?また、その財源が余ったことで、職員の健康増進や旅行など福利厚生の名の下、多くの無駄遣いが表面化しています。時代の変化と共に社会が変わる中で、子どもを取り巻く環境や子どもの抱える問題も大きく変わりました。そのため、子どもが必要とするケアも以前とは大きく変わっています。しかし、子どもの命を守り、羽を休める場である施設や養育制度は昔と変わっていません。予算の無駄遣いを廃し、子どもの「心に寄り添った」制度に変え正面から子どもの「心のキズ」に向き合うべきです。高齢者福祉や障害者福祉、児童福祉でも子育て等は制度の改善が行われてきています。しかし、児童福祉の中でも、この分野は「票にもカネにもならない」ため、政治的課題にならず光が当てられなかったのが実情です。子どもを取り巻く環境は、複雑で困難さが増していますが30年以上もの間、対応すべき制度は見直しもされていないのです。

   課題と対応策
 親に対するケア。子どもは親との生活を一番望んでいる。・親の自立支援が重要。精神的支援、経済的生活問題、犯罪、薬物の乱用、等の対応が必要です。

   子どもに対するケア。
 全国には195ヶ所(平成19年4月1日現在)の児童相談所が設置されています。虐待の予防・早期発見のための機能では、強制的立ち入り調査があります。このような中で、年々通告件数は増加しています。職員の手持ち件数が増加し、適切な対応ができないことからも、体制の強化が必要です。
 また、一時保護機能もパンク状態です。施設へ措置するための権限はありますが、実際に受け入れ先も飽和状態になっています。情緒障害児短期治療施設は、全国に31か所設置されていますが、千葉県には設置されていません。心にキズを負った子どもをケアする、子どもを守る最後の砦として早急に設置が必要な施設です。
 また、児童養護施設は、全国に約560か所設置され、定員が3万3700人にのぼります。入所理由が時代とともに変化し、心や体を傷つけられた子ども達が増加し、現在の入所者中6割が虐待をされた子ども達です。

人間関係を断ち切られる経験を繰り返してきた子どもたちは、人間不信、劣等感、恐れなどから硬く心を閉ざしています。そのため、暴言や暴力で抑えてきた感情を表わしてしまいます。
このような子ども達と正面から向き合い必死に改善できるように取り組まれる職員の方々のなかにも、子どもの噴出すエネルギーに疲れ果て、職場を離れるという悪循環も繰り返されています。頑張る職員ほど燃え尽きてしまいます。 このようなことからも、小さな家庭的単位で濃い人間関係の構築が必要です。

   ☆家庭的要素の重要性。
 ・生活に家庭的要素を取り入れるとともに、生活環境からくる学力の遅れや自立に向けての支援が必要です。
 ・施設は少人数やグループホーム的なケア単位を基準とした規模とした中で、きめ細かな支援が必要です。
 ・現在、保育士や児童指導員が施設に配置されていますが、より専門的知識を持った職員を配置し、心理面や精神面でのケアを行うなど機能の強化を図る必要があります。
 しかし、現在は施設やスタッフの努力と使命感によってギリギリの状態で運営されています。しかしもう限界であり、職員の配置基準を改めスタッフの拡充と財政的支援がなければ児童福祉は崩壊してしまいます。

草 根  国民の生活が第一

置き去りの児童福祉! 子どもの心に寄り添うケアを!